山崖松堂

- 漆芸- 


漆だけで成形する「芯漆」という、時間と手間がかかる技法。「芯漆」技法で制作した作品は、木地を使った漆器とは異なり、千年後、一万年後でも、世界の異なる天候や自然環境を問わず、経年劣化しません。漆の耐久性は、化石として発見される琥珀と同じ性質を持ち、天然の高分子化合物で、塩分やアルコールに強く、防水、防腐性もあり、電気を絶縁するなどの特性を持ちます。漆は熱・酸・アルカリに強いだけでなく、ガラスや陶器を溶かすフッ化水素、金を溶かす王水でも溶けません。また、固まると液体に戻ることもありません漆は、科学的に最も安定している有機物の一つです。「芯漆」は漆器制作で最も重要となる漆の本質を深く理解することで誕生、「永久不滅」を概念にした技術です。しかし、幾度も漆を塗り乾かし、彫る工程があるため、「芯漆」作品の制作期間は8年から最長23年かかります。(作り手ブログ「芯漆」より抜粋)

脱乾漆ぐい呑

 66*66*H49
鮮やかに現れたアマルナブルーと脱乾漆特有の肉厚の佇まいから、ゆったりとした気品を感じる。見込みに渦巻く銀河の流れは、まるで、見込み奥の彼の地へ引き込まれているよう。胴は、漆の削り・磨き手法により、複雑で細かな流れのある景色となっている。所々漆の層が深く立体的になっていて景色に重厚さを与えてる。

朱盆 


経年の味が出る技法