中村康平


光悦と長次郎の写しは、写しという世界に留まらず独自の世界観を生み出している。

粉引ぐい呑

75*76*57
個展会場には、多彩な作陶が展示されていました。その中で “粉引き” に拘りがありました。ゆったりとした持ち心地でありながら力強さも併せ持つ造形。釉薬の厚掛けによる萩焼のような割れは、釉薬というより土の暖かさを感じます。梨地の肌合いは、表面的で単調になりがちな粉引きの景色に深みを持たせています。驚きの匠は「雨漏りの景色を意図的に狙っている」との事でした。しかも、見込みではなく胴に表れるように作陶されたそうです。「見込みが汚いのが嫌だから」とも言われていた。「雨漏りを狙っている」と言われた作陶は、原憲司先生の井戸以来、唯一無二の “粉引き” です。