桶谷 寧


曜変天目の第一人者。稲葉天目(南宋12~13世期)を始め桃山の志野、織部、井戸など、時代背景や窯人の生活状況、等を研究し作陶されています。

天恵盃

90*90*H45
稲葉天目に遠く及ばないまでも宇宙の景色を垣間見る煌めく光が見込みに見て取れる。胴の不規則な虹模様と内面の禾目(線状)が見込みの煌めきに導いている 。先生が 「 マニアックな景色 」 と言われた 銀禾目の天恵盃 均一な極細銀禾の流れと、光のスペクトルが映し出された虹模様が、織りなす景色となっている。「 孔雀の羽根のような景色ですね。 」 と言われた方がいた実際の孔雀羽根は、羽根に細かな凹凸があり、輝きは、ビロードのように妖艶さを放ちます。この妖艶さが “ 求愛 ” の重要なポイントになるそうだ。本作の銀禾の流れにも、極少の隆起があり、虹模様と相まって、輝きに 深み や 柔らかみ を感じる。極光(オーロラ) や 宝石(オパールetc) に表れる虹模様とは、異なる印象。孔雀の “求愛” に通じる、輝きなのか … ?全作品のベースにある黒は、漆黒を遥かに凌いだ深さ。光をも吸い込んでしまうブラックホールとでも言いましょうか画像では景色の深さを捕らえきれませんでした。胴の反った造形は、腰に釉薬の厚い溜まりを作った。黒景が深く、虹模様が一層、鮮やかに表れている。“ 天恵盃 ” は、桶谷寧先生のみが唯一生み出す事のできる世界勿論 “ 曜変盃 ” の扉を開けるのも、桶谷寧先生のみ!曜変天目の第一人者である桶谷先生は、茶碗では、多種の天目を実証済みだが、小さな盃は、釉薬の流れる長さも短く、今までの窯では適さない為、新たに窯を研鑽された。適した窯とは、寸法 や 型 ではなく 「木に合わせた窯」 と 桶谷寧流の独特な言い回しをされている。素人には想像できない、玄人にも共感できるかどうか。以前、曜変や志野、瀬戸黒について、簡潔にご教授いただいたときも、締め括りに「あとは、人間の感性の問題 になります。」と言われていた。“ 見極める感性 ”制作を生業としている者としては、研鑽を積むだけでは、身に付くものではないと言うことは、分かっているつもりだが‥