笹岡基三


木の葉天目名人時折、他の技法の作陶をする。“天目”としっかり向き合う為の息抜きだと言われていた。とは言え、研鑽された技術、作陶魂は現れている。

木の葉天目酒盃

8686*H40
天目茶碗と同じ印象の酒盃は、茶碗を作陶するより遥に難しいと言われていました。漆黒感は釉薬の厚みで決まるそうです。茶碗と同じ漆黒感、緊張感と気品を感じる作品の佇まいを作陶するには、必然的に天目酒盃の造形は、茶碗より極薄に引くと‥造形と釉薬の極限の均衡が崩れると、造形は釉薬の重さで崩壊します。木の葉天目は、葉を加えることで更に条件が厳しくなります。多くの木の葉天目の木の葉模様は、木の葉が貼り付いたように動きは見られません。しかし、本作には、葉が焼成中に移動したような景色があります。この動きにより漆黒の中に幻想的な空間を感じ、魅力的な木の葉天目となりました。