加藤 委


切れ味のよい造形に、透き通るような美しい釉薬が特徴的な青白磁。2013年に日本陶磁器協会賞と円空大賞をダブル受賞。

青白磁角コロ

85*87*H90
この“角コロ”は、鋭利な造形ラインでありながら、そのライン、面、釉薬の流れ、色合いが相まって“光・潤い・優しさ”の“美力”を放っている。底部の浮き上がっているかのような、緊張感の在る空間により、周囲から切り離されたステージ(空間)で存在する、オブジェに見える。釉薬の溜り垂れが、その浮き上がりを象徴的にし、印象を強くしている。立ち上がりに緊張感を持たせる作陶は、「常に意識する拘り」と加藤委は言う。無垢の固まりは、技術的にたいへん難しい作品だと言うお話本作は、個展会場の作品では、唯一、破綻の無い仕上がりになっており“静の美力”を感じた。素直にその“美しさ”に浸る事ができる。作品は自宅の仕事机の上にあり、常に視界に入る。時には、じっくり鑑賞するが、作品から放たれる“静の美力”によって“心”が“静寂の時”に引き込まれる。