金重潤平


祖父は、備前中興の祖と言われた人間国宝の故金重陶陽氏。父は、岡山県重要無形文化財保持者の金重晃介氏。早稲田大学卒業後、ロングアイランド大学大学院で彫刻を学ぶ。早稲田大学第一文学部卒業

備前酒呑


作り手は、この景色を作陶するにあたり、大いに悩まれたそうです。
備前焼の伝統技法と大家に受け継がれた美意識による景色は「土と窯詰めと焼成一回の一発勝負」で生み出されます。
「まだまだ、試みる余地はある」数年前、大家を継ぐ者の覚悟を感じる言葉でした。
本作の技法は、皿の景色に使われている伝統的な備前焼の技法です。しかし、酒器や花器などの立ちものでは、同技法は作為的な景色となってしまいます。
そこで、胡麻の流れる特性を生かす景色に取組ましたが、備前の美意識に適った自然の流れになる見極めは、正解が見えない挑戦だったそうです。また、一発勝負に拘る作り手は、当技法とのジレンマに苦しみながらも挑戦し続けました。
いつも言う事ですが、作り手の諦めない挑戦により、初めの景色に出会う事ができます。使い手としては「感謝」しかありません!
本作は、通常は焼成方法が異なる備前焼の代表的な景色である「胡麻」と「緋襷」を一つの作品として生み出しています。
とろりと流れる胡麻、動きを感じる緋襷、温かな土味、一つ一つが美しい仕上がりと共に、互いに折り重なり変転する見事な景色となっています。
作り手の拘りと覚悟がひしひしと伝わる本作に感じ入りました。

窯変ぐい呑


備前の基本、無釉で作陶する。焼成時の工夫や窯詰など、まだまだ新しい景色を生み出す可能性があると言う。

備前


銀座黒田陶苑個展作品2024.1
数奇屋建築でもある円窓のような奥に広がる緋襷の景色、絵画的な美しい構成の景色に感心しました。
今まで皿の景色に特段の興味はありませんでした。しかし、この度、挑戦されている技術だからこそ生まれたであろうこの景色は、緋襷の伸びやかな模様が柔らかな円で切り取られた情緒豊かな景色となっています。
備前焼本道の技術を駆使した新しい景色
楽しみながら作陶して頂き、使い手としてもその楽しさに浸らせて頂きたいと思っております。
画像出典:作り手銀座黒田陶苑個展紹介Instagram