柳原睦夫


高知県の医者の家に生まれ、思わぬ形で陶芸と出会い、 師である富本憲吉先生を始め、同級生の森野泰明氏、先輩の加守田章二氏、そして熊倉順吉氏、八木一夫氏、鈴木 治氏といった走泥社の面々に接しながら学生時代を過ごされた柳原先生。当時の日本の感覚では想像できない造形・色彩・模様の作品を発表されています。先生の造形の原点は、ロクロで成形されたパーツを組み立て、またその 一部分が強調されている須恵器にあります。フォルムや色彩は変化し ても、「うつわ」と「オブジェ」、「伝統」と「革新」といったものを “まぎらかし”、ユーアを含んだ批評精神を有する作品を作り続けていらっしゃいます。

覗き込む


“見込み”の美しく輝く、深い青が見せる、多様な表情や風景。実の空間より奥へ大きく広がっているかのように感じる “見込み”の造形。その空間を包み込む、息づくような豊満な造形と次元の違う空間を意識させる鋭利な境。“見込み”を象徴的に浮かび現し、視線を導く、手前にゆったりと広がる場。それらの力が淀みなく発揮される位置に、力強く支える、緊張感のある下空間。作品の全てに、注がれた先生の想いと情熱と愛情。この作品に凝縮された、その全を感じることができたとき、感動し、涙が出てきた造形物を見るときの観点の一つ。「地球上の“人”も含めた生物・造形において、ほぼ同様に”内側(面)力”が正しく整い、力を蓄え、発揮できる物(者)の“姿・佇まい”は、美しい。」これは、自然の”摂理”ではないだろうかこれからも様々な作品に出会うと思うが、この観点を忘れず、イメージだけではなく、肌身に感じ取れるようになりたいと思った。