山田 大


父は、山田 和先生志野、黒、灰釉、南蛮、など多くの作陶を行っています。特に南蛮は、淡路島の土による独自のアプローチを行い淡路島南蛮を確立しています。作陶技術・秘技に関連しては素人相手でもお話しされない昔気質の陶芸家です。その拘りが、葡萄志野のような唯一無二の作品を生み出したのだと思ます。また、料理研究家として玄人はだしの自作料理をSNSで紹介しています。

葡萄志野ぐい呑

75*71*h57
念願の葡萄志野です。焦げの「枯」、志野釉葡萄色の「品位」、志野釉白色の「甘味」、土見せの「土味」が相まった見どころ満載のぐい呑みです。滲み出た様な葡萄色には奥ゆかしさを感じます。ぽったりとした白色には、ほのかな透明感と潤いがあり、甘味をも感じる景色となっています。口縁の焦げと葡萄色の景色の切り替えしには、荒々しさと柔らかさがあり、細部に拘りを持って作陶する作り手の感性が伝わってきます。見込みに焦げが点在しており葡萄色と白色が相まった景色に動きを感じます。高台は、全体の造形と同様に作り手らしい構えのしっかりした造形と縮緬削りの繊細さがあり、私好みです。見どころ満載の秀作とご縁を持つことができ、作り手に感謝いたします。
作り手は「葡萄志野は暴れ馬のようなもの‥」と言われており、どの様に御していくか、研鑽中との事です。直近の窯でコントロールの兆しが見えたとの事なので、次回を楽しみにしたいと思います。
⁡⁡⁡⁡「葡萄色」解説⁡⁡⁡葡萄=エビは一般的ではありません。⁡⁡葡萄色(えびいろ)とは、山葡萄やまぶどうの熟した実のような暗い赤紫色のこと。または、薄く渋い紅色のことです。『葡萄』は「えび」と読まれた山葡萄の古名で、葡萄葛えびかずらのこと。江戸中期頃から「ぶどういろ」と呼ばれるようになり、「海老色(えびいろ)」と区別されるようになりました。王朝文学にもたびたび登場し、古くから宮廷の人々に親しまれた色の一つ。もともと葡萄色は色域が広く、暗い色からかなり明るい色まで含まれていました。今日では葡萄色といえば暗めの色で古代でいうところの『深葡萄(こきえび)』のことですが、『延喜式』によれば明るい色であり『浅葡萄(あさきえび)』と同一のようです。ちなみに、天武十四年(六八五)年に定められた『四十八階制』では、深葡萄は正位から四番目の追位の色、浅葡萄は五番目の進位の色とされています。⁡志野が作られたと言われる16世紀頃には葡萄色=エビ色だったと思われます。故に葡萄(エビ)志野なのです。(作り手facebookより抜粋)