加古勝己


人の暮らしの中に「やきもの」は存在し、太古の時代から身近な素材として私たちに寄り添っています。土という素材を扱うということは、自然そのものを自分の中に映し込み、五感を働かせて作り出します。季節が移ろう中で感じる色や匂い、音などに触れると大きな世界の中に自分が取り込まれている感覚になります。「土」という素材の魅力を引き出す作業を繰り返していくと、原始的な手法へと回帰していきます。それは単純ではあるけれど奥深いもので、自己を反映しながら行きつ戻りつ歩んでいます。(HPより抜粋)

沫雪ぐい呑

62*62*H55
白釉とざっくりとした土味は、拮抗したバランスで力強い景色となっている。立ち削りの造形は、小ハゼ石混じる土味を際立たせている。白釉は、作品名の“沫雪”の如く、泡のようにやわらかく溶けやすい雪が、留まっているように見える。まるで、自然の中の “石場” にある、沫雪残る景色のよう。*沫雪=淡雪、アワユキ