菱田賢治


「漆」とは、漆の木の樹液そのものです。それが、人が手をかけて、こんなにも美しい輝きを放つ。漆芸は自然と寄り添うように生きてきた日本人の感性そのものに思います。長い時間をかけて、先人が培ってきた漆の技を、現代の生活に活かせるよう、「美」という目標を持って模索して行きたいと思います。陶磁器に漆を塗った『陶胎漆器』では木地では出せない形の面白さを、木地に漆を塗った『漆器』『塗り物』では日本的な自然観やわらかさ、あたたかさを、『蒔絵』では日本独自の伝統工芸のすばらしさを、『茶道具』では世界に誇る日本美学を、「漆」という素材の魅力を生かして表現したいと心がけています。(HP:陶漆より引用)常に創意工夫し研鑽を重ねる作陶姿勢に感心する。
東京芸術大学修士課程(大学院)卒業静岡県伊豆熱川に築窯工房「陶と漆」

織部野点茶盌

94*94*H77
志野織部と金彩の組み合わせは、金屏風の槙の木と雲を模したような雅な景色となりました。常緑樹の槙を織部釉、雲の棚引きを志野釉、金屏風を金彩。日本美学を熟知している作り手ならではの実に美しい野点茶碗です。

縮塗陶漆酒杯

60*60*H55
縮は漆が縮んでできる景色です。湿度や重力など自然の力が大きく影響するので、なかなか思うような景色はできないそうです。手に取ると縮に光が巡ります。独自の技法が斬新な景色を生み出しました。

志野ぐい呑・唐津赤土

67*67*H56
志野釉の透け感のある仕上がりが美しい。唐津赤土との粗めの造形に合わせる美的感覚に敬服する。