田村 一


自作は九州・天草の陶土を使っております。近年ではグレーの粘土や信楽の透光性のある土「透土」もブレンドしてますが、やはり自分の制作の中心には天草陶石があります。天草は実に滑らかな手触りで、可塑性の高い土です この可塑性を利用した形を作ろうと常々思ってます。たわませたり破いたり、轆轤成型でできた「円」の孤の持つ緊張感は見ていても、目にとても心地よく写ります。その緊張感を損なわない形が自分の成型にはとても重要なのです。中国古陶の青磁や現代作家の青白磁が好きな自分は、ガス窯を還元焼成で焚きます。自分にとっての青白磁は「雪」を反映したもの。9年の益子生活を経て郷里の秋田に戻ったのは、秋田の冬の景色を作品にしたかったからがいちばんの理由だったのかもしれません。(HPより抜粋)

単 野点茶

115*97*H82
独自の造形は蕾の膨らんでいます。轆轤後に切り目を入れ重ねながら動きを出す技法です。本作の造形から蕾が膨らんでいく様が見て取れます。その様にピンクの色合いが蕾イメージを顕著に感じます。

雑木灰釉単味(青磁)

74*74*H67
造形のダイナミックさ、焦げのようなアクセントが良い感じです。このアクセントは「からみ」という鉱石から必要な金属を精製するときに出る鉱滓を生地に混ぜていて、それが溶けて茶色の斑紋になるそうです。美しい青の薄衣と貫入で覆われています。