中尾郁夫


磁器は分業による物作りの世界です。素材に拘り、伝統技法で素地を作り、工程の多い絵付まで手掛けます。

山水図盃

6161*H40
小さな酒器に、絶妙な “間” で風景が描かれています。岬の神木の側に立ち、大きく広がる穏やかな内海の風景を見ているような広々とした空間を感じました。手漕ぎ船が、穏やかな日常感を醸し出しています。内側にも手漕ぎ船が、描かれています内外の境も超えた景色の構成に、感心いたしました。その情景を柔らかく伝える、水墨画のような濃淡の美しき巧み。小さな酒呑の胴、腰、高台、全てを一つの風景画とした感性と作陶の巧みに感じ入りました。陶芸の枠に収まらない “絵画力” を堪能できる逸品です。