桑田卓郎


「伝統的な陶芸の景色である「梅華皮」や「石爆」などを軸に作陶される独創的で新しい造形や景色は唯一無二。その原点となる伝統表現は、安土桃山時代に茶の湯の文化と共に脈々と継承されてきた“わびさび”や日本独自の自然美からなる陶芸美学。そのダイナミックさと精神性が世界でも高い評価を得てます。学生の頃は、DJやダンスもしていたそうです。ポップでアヴァンギャルドな作品から感じるエネルギーの根底にある感性が育まれた一端かもしれません。

長石釉黄化粧茶

150*113*H98
定番作品に長石釉を厚くし、割れを景色とした作品群があります。より進化させる実験の中、本作が生まれました。偶然の産物だそうです。陶芸の歴史の中で“魁の陶”は、偶然の産物の陶力、美力に魅了され、我が作品とするがための研鑽を重ね、掌握する事により生まれてきました。我が作品は、目の前に有るかもしれないし、最後のワンピースは、遠くにあるかもしれない。一つだけ、確信を持って言える事は、この“魁”を生む事が出来るのは「桑田卓郎しかいない!」という事です。まだ、荒削りであり、暴走の観は否めないが、トロリと垂れた志野釉薬の溜りは、白の色合いが深く、大きく入った貫入により“神々しさ”さえ感じます。

長石釉赤化粧ぐい呑

63*65*h56
長石釉を厚く掛け、ひび割れた景色を造る、唯一無二の作品。赤彩土の造形とのバランスも面白いです。小ぶりで、可愛らしく、インパクトが有ります。口造りは、ポッタリとした柔らかさがあり、呑み心地としては、ツルッとした触感が気持ち良いです。厚い長石により、ズッシリとした重さがあります。ひび割れの景色には、剥がれ落ちそうな作品もあり、受ける印象は、様々です。
この唯一無二の技法を原点に大型オブジェや様々な景色を生み出していきます。世界の桑田卓郎になる始まりの器です。

「長石釉作品について」桑田卓郎談自分の作品の模倣者に対する異議を唱えるために、自分の作品の背景を説明したいと思います。2006年にこの赤いお椀(*)を作りました。りました。ひびの入った表面は「カイラギ」と 呼ばれる技術の拡張解釈です。この手法の例である荒川豊蔵の作品もここに示されています。その頃、岐阜県美術館で荒川の個展を見て、志野釉に興味を持ったのがきっかけでし た。その後、志野釉薬を試しましたが、これがこのスタイルでの最初の成功作品でした。この赤い作品は、釉薬を特定の効果を念頭に置いて混ぜ合わせたもの で、思い描いていた通りに出てきました。私はこの成功から始めたので、多くの間違いや失敗が 続き、その後はかなりの試行錯誤を繰り返しました。プロセスの化学的効果だけでなく、作品の見た目、デザイン、コンセプトについても多くの実験を行ってきました。もちろん、完成した作品を見ると、これとあれ を微調整することで、それをさらに改善し、より魅力的にする方法を想像するのは簡単です。しかし、アートの世界では、オリジナリティと創意工夫が重要だと信じていました。ですから、模倣作品を作 っている人たちが、主要なギャラリーで自分の作品を誇らしげに見せて売ることができる方法に頭を悩ませることはできません。出典:桑田卓郎instagramより抜粋 (*)品写真は掲載できません、悪しからず。

紙コップ

47*47*H47
超薄手の磁器カップ。ポップな景色も相まって画像では紙コップに見えました。初めての桑田卓郎作品です。

ストロー

7Φ*127
細く、曲がらない様に焼成しています。画像では、正にストロー。小学生だった娘と個展に伺い、娘が選びました。

湯呑み

150*113*H98
鉱物が滲み出ているような景色のシリーズ初期の湯呑みです。高台の中にも鉱物があり、その細かな作りからも作り手の繊細な感性を見て取れます。