布下翔碁


1990年 広島県に生まれる2010年 東京藝術大学 工芸科 入学2014年 東京藝術大学大学院美術研究科陶芸専攻 入学2016年 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程工芸研究領域(陶芸) 入学2017年 東京藝術大学 漆芸研究室 研究生2022年 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程工芸研究領域(陶芸) 卒業2022年 東京藝術大学 非常勤講師/東京工科大学 非常勤講師(〜2023年3月)2023年 東京藝術大学 芸術未来研究場 特任助手
作り手HP : http://shogonunoshita.com/コンペティション、エキジビジョン、プロジェクト、デザイン情報掲載
embracing-damage2022
 百間 酒盃01 60*60*H48
百間窯から出土した陶片の失われた部分を、乾漆の技法で形をつくっています。割れたことで一度は生活から切り離された陶器に、この作品を手に取った現代の人によって、再び記憶が紡がれていく作品です。新たに作形作った部分は、金継ぎからイメージを膨らませて、金箔で装飾しています。(作り手Instagramより抜粋)
経年による金箔の渋みと陶片の貫入が相まった景色が美しいです。
乾漆部は存在しない造形を再現していますが、違和感はありません。
作り手の見極める感性と再現力に感心しました。
見込みには、焼成時に降ってきたであろう細かな破片があり、胴にも陶片が付いています。
陶芸では「失敗」とするか「二度と生まれない珍しい景色」として見立てるかの判断に迫られる事が、時にあります。
本作品のこれらも景色と捉えれば、本作品は「珍品」の一つと言えるでしょう。
作り手の見立て力、創意力に感服いたしました。
作り手は「‥一度は生活から切り離された陶器‥再び記憶が紡がれていく作品‥」と言われています。
一片の陶片が、再構築される事で止まっていた時間が動き出す‥
実にロマンティックな作陶です。