富永善輝


釉裏彩作品を構想している時は黄瀬戸、井戸、等を作陶し、それらの構想をしている時は釉裏彩作品を作陶していましたが、いずれも気分転換ではなく研鑽を積まれていた。唐三彩を基に黄瀬戸のアクセントに用いる胆礬を釉裏彩の釉薬とする独自の技法を生み出した。釉裏彩の景色は、色合い、濃淡、止まる・流れる、等、表情によって釉薬を細かく作り分け、細かな造形の作品は各部を筆で塗り分けていた。独立の際「黄瀬戸(灰釉系)の釉薬は勉強になる」と同門の大先輩である原憲司先生にアドバイスされ、黄瀬戸釉から始まり派生釉薬の研鑽を積まれていました。個展では毎回、新たな景色の黄瀬戸や井戸を始め、独自な景色の作品を数多く出品されていた。結果、毎回全品細かく拝見したい作品となり時間と労力がかかるので、都度「もう少し小出しにしてください」とお願いしていた。 没2016.3.25 享年44歳