竹内紘三


時間を感じさせるものをつくりたい。メキシコの遺跡を見て、石っぽいものがやりたいと陶器をつくり始めた。

reattempt(再試行)


一部が崩れていることで、その様相は一変する。そこには、経年変化による風化や崩壊、あるいは、廃墟、古代遺跡といった、いわゆる可視化された時間の流れや、時空を超えて存在するものが纏う圧倒的な存在感が、ふいに匂い立ってくるのである。偶然、発見した「破壊することで生まれる美しさ」は、意図的に「不完全の美」を創造するものである。マルテル坂本牧子(兵庫陶芸美術館学芸員)

ぐい呑

6058*H57
リズミカルに刻まれた紋線と釉薬の融合が生む一体感。潤いに煌めく見込み。生まれたての陶は、“寂”の域にある。まるで、遺跡に見られる銅製神器のようだ原土は、炎により、閉ざされた記憶を解き放ち、釉薬と共に、その記憶を留める。作者の想いを凌駕した陶力が現れる。