東京出身の木工芸家木や漆を素材として、家具や雑器を木地から製作。 また、公共空間の金箔工事や漆を施した玄関扉などの内装工事も多く手がける。東京芸術大学 工芸科大学院 漆芸専攻修了出典:ギャラリー桜の木 80*80*H75-へぎ-は、木口に杭を打ち込み、縦に伸びる繊維状の木脈/道菅(*1)に沿って割り裂く技法です。切らずに割り裂く事により、木脈が分断される事なく景色にする事ができます。仕上げは、赤漆、黒漆など、単色の漆工が定番ですが、当作品の胴は漆で覆わず、素朴で自然感のある仕上げとなっています。見込みは、対照的に赤漆で品位を感じる仕上げとなっています。樹木が生きた証である木脈を生かし主張する事で、樹木の成長の神秘と生命力を強く感じる作品となっています。《説明》*1:道管(AI による概要一部引用)樹木は、茎の伸長成長と形成層による幹を太らせる肥大成長で構成されます。樹木形成層は、木の成長を促す分裂組織で、これが細胞を外側へ作り出すことで年輪が形成されます。樹木形成層は、茎を太く成長させる細胞の層で、内側に「木部」(道管と仮道管)を、外側に「師部」を作り出します。道管は、形成層が内側に分裂してできる木部の主要な組織であり、根から吸収された水とミネラルを葉まで運ぶ役割を担っています。 《豆知識1》 -へぎ- 材料編-へぎ- の制作工程で重要なのは、木の質を見極める事です。樹木は、成長過程で内部応力や環境への適応によって生じる繊維の不規則な配列やねじれ、コブ等が生じる場合があります。また、道管は樹木個々、種類により「流れ」が異なります。これらは、乾燥にも大きく影響します。材料を見極める経験と生かす想像力、技術が求められます。《豆知識2》 -へぎ- 技術編木製の仏像を作る際、無垢材から造形した後、像の割れを防ぐ技術として中をくり抜き、その後元の造形に戻します。その際、-へぎ-の技術を使い縦割りにします。元の造形に戻すには、木脈の複雑な隆起に沿った接着となり繋ぎ目が見えなくなります。ノコギリを使うとノコギリの厚み分の欠損が生じ、木目が合わず継ぎ目は顕著になります。