中国、管窯青磁の魅力に憧れ、自然界からの閃きを求め、そのつどテーマによる個展発表を続けて参りました。これからも、土の持つ「柔らかな、温かみ」を表現したく思っております。(HP「川瀬忍の世界 果てしなき土との対話」より抜粋) 68*68*H38本作を最初に拝見した時、貫入に可憐な花ビラのような印象を持ちました。釉薬全体に微細な泡が見られ、泡のみで作品が形作られているようにも見えます。泡は、小さ過ぎず、大き過ぎず、一定の範囲で均一この構造が景色に “深み” と “透明感” をもたらしているように思います。貫入自体も、激し過ぎず、少な過ぎず、頃合い良く二重に入っています。これらが相まって、柔らかでふっくらとした印象を与えているのだと思います。貫入の端々が煌めく美しさ、青瓷の落ち着いた暖かな発色と透明感、等々、美しいと感じる観点が満載です。美しい造形からは “柔らかな気品” を感じる高台横の丸みは、高台の高さと僅差であり、支える指腹に柔らかく感じ、持ち心地が良です。 70*70*H43今までの青い青磁ではなく、白い青磁=瓊瓷という新作です。“青”という要素を徹底して取り除かれました。“瓊瓷(けいじ)”の“瓊”とは美しい玉とのことである。“天睛(てんせい)”とは、作品に一点現れる極小の点睛は《目のうちの心の現れる部分「ひとみ」の意》のことからもともと粘土に含まれていた。目に見えなかった「精」焼成中 窯の内で天から賜った「精」のことである。(作り手のご案内文より) 玉の白、暖かな光を発し、透明感を感じる白の作品に施されたシノギを薄っすらと浮かび上がらせ、光にかざすと蛍手のような柔らかな光を通します。意識して釉薬を厚くした事で、持ち手に作品の存在を意識づける心地よい重みを感じます。陶肌は、艶やかな人肌の触感、唇で感じたいと思わせます。きめ細かで潤いのある柔肌のようです。会場にて先生よりご教授いただいた、作陶にたいする真摯な姿勢、崇高な志、陶芸界への想いに感じ入りました。後日、"瓊瓷盃天睛"を作陶するにあたり意識された事をご教授いただきました。「今までの青い青磁と違い、手取りも、少し、たっぷり目を意識いたしました。口当たりにも、今回は、盃から、唇を離すときの意識を持ちました。以前は、触れた時の意識を考えていました。」と 104*104*H68外焔 -青瓷から瓊瓷へ-そっと静かに、青を除きて、焔の囲みから解いてみる。(作り手HPより) 蓋が二点あり、一つは陰蓋とし、ひっそりとお箱に納まる陰の存在としています。光を含む貫入と陶肌は、静寂なる気品を感じます。隆起の造形のみで現された高台の美しさ。忍イズム満載の香炉となっています。 90*90*H28はじめての川瀬忍作品。輪花の造形は唇を盗む実に飲み心地が良い酒器です。
高台にピン三点。高台部に土見せを作ると焼成時ガスが入り青磁の色味が変わるため超極小の高台にする必要があったそうです。 70*70*H17友人に見せた時「女性の趣味がかわった?」と冷やかされたと言われていました。柔らかな造形は川瀬イズムの象徴です。舐める程のお酒しか注げない酒盃です。 74*74*H33薄さゆえに削りの一手を止めた見込み薄さゆえに分かれた口縁胴の深き陰刻の底はいずこへ薄付きの釉より出しシノギの峰薄肉の造形に内外両面から陰刻された紋様は、作り手の繊細な指先の感性で限界値を感じ取りながら、生み出されました。この美しさ、神業です。 69*93*H39耳盃とは持ち手が耳のような酒器です。耳の造形から入るのではなく、持ち心地から作陶された耳盃ということです。独特なアプローチで美しい耳盃が生に出されました。 73*73*H90青磁の造形は肉薄で釉薬は熱伝導力が高いです。本作品は、厚めに造形し鎬で指当たりの少ない造形となっています。重さも丁度よい手持ち心地です。 147*143*H68轆轤後に指で無作為に変形させた自然なラインがなかなか難しい「想い任する土ならば…」(作り手HP 64*66*H32青磁の削りで出るクズ土を再生して造形を作られました。極薄の胴に高度な轆轤技術が見て取れます。人肌の様な景色は、作り手の作品としては珍品と言えます。 74*74*H66「作りてとして、制作の手を、どこで留めるかを悩み続けることは、常であるが、今回は、皆様にそのあたりを 委ねさせて頂きました。」(作り手HPより)注がれるものが滲み出て雨漏りなどの景色が生まれます。2012年から8年間、何も注がず静かに過ごした景色静かながら見どころ満載の景色となりました。