小園敏樹

- 鎌倉彫 -

隠れ家工房 “ 青樹庵 ”


作り手語録世の中の物離れの向かい風に負けず使い手の思いに正面から向かい合っていきたいと思います。」「木と漆の素材に向き合い彫刻や漆塗りの仕事を通して使い手に幸せをお届けしたい」(内封書)
1958年鎌倉生まれ。青山学院大学卒。造形作家斉藤寿一氏、彫刻師佐藤広佐氏に師事。1983年より鎌倉彫の家業を継ぎ、小園漆工房にて木工、漆工、彫刻を修行。2004年に伝統工芸士認定2005年に鎌倉山に「隠れ家工房“青樹庵”」設立。鎌倉彫創作展など多数受賞。国内デパートや海外の展示会にも精力的に多数参加。

合鹿椀

Φ152*h 108*高台h32
分業制が主流の鎌倉彫ですが、本作は、作り手が削り出し、鎌倉彫特有の美しい刀痕と布貼りの布目が現れない程の丁寧な漆仕事が施され、深みのある色合いの景色となっています。例え何らかの原因で破損が生じたとしても「手で作った物は直せる」と言われていました。小園さんのお嬢さんは、幼い頃から合鹿椀を使い、嫁入りの際は漆を整え、お供として持参されたそうです。
[合鹿椀]床に置いた状態で、食事が出来るように、通常より高台が高い特有の形で知られる。石川県能登町(旧柳田村)の合鹿地方でつくられる漆器椀が始まり。
〈余談〉子供の頃、祖母が作ってくれていた味噌汁は、根菜類、緑黄色野菜、魚介類、豆腐が、ほぼ全種類何かしら入っている具沢山味噌汁でした。自宅仕事の私は食事担当ですが、具沢山味噌汁は「味噌汁だけで満腹になって、他のおかずが食べれない」と家族に言われるので、家族向けには具をニ種類までにしています。還暦を過ぎて時折、一汁のみの食事をしていますが、家族との食事の汁椀では小さいので、どんぶりではない大きな汁椀を探していました。合鹿椀は画一的な物が多いですが、本作は鎌倉彫の美しい刀痕による個性豊かな合鹿椀です。作り手の小園さんは「まだ、道中ばで、まだまだです。」と言われ、その職人魂にも関心しました。出会ったご縁に感謝しています。