土岐千尋

- 木漆工芸家


美大卒業後、デザインの仕事をされますが、形が残る仕事をしたいという思いから、木漆工芸家の黒田辰秋先生に師事されました。分業化されている仕事をしているうちに自由な発想で物作りをしたいと思うようになったそうです。木漆工芸の全ての工程を一人で行う匠に出会った事で物作りの道が大きく広がりました。匠は、最初に土岐先生用の引出し付きの道具箱を制作されました。その基本的な制作工程を見ていた時に、様々な造形の展開が想像できた事から、木漆工芸家として制作活動ができると確信されたそうです。木工の箱は四角が基準型で、多くは面の造形を工夫する事で作り手の個性を表現しています。決まり事も多々ある従来の木工は、自身が求めている物作りではありませんでした。結果、現在の造形様式に至ったそうです。発想の根源は、目に映る美しいと感じるあらゆる物だそうです。制作工程は、アイデアスケッチから粘土でモックアップを作成し、造形が確認できたら「箱」として成立できるように詳細に設計し、本制作されるそうです。作品を見た方からオブジェ制作を勧められるそうですが「箱」に拘り制作されているそうです。 1948年 宮城県生にまれる1971年 武蔵野美術大学産業デザイン科卒業1974年 人間国宝 木漆工芸家 黒田辰秋に師事1990年 英国ヴィクトリア&アルバート美術館、梻(タモ)拭漆大箱収蔵2013年 諏訪湖博物館20周年記念「箱・筥・匣展」開催2019年 NHK BSプレミアム「美の壺」に出演高島屋横浜店、大阪店、京都店、日本橋点など各地で個展開催長野県茅野市在住

(4点)(1点)

横浜高島屋個展会場2023.9
作品の大小にかかわらず、精度の高い柔らかな造形と吹き漆による木目の美しさが相まった作品は、荘厳な雰囲気と気品を感じます。
まさに「荘厳美麗」
唯一無二の美しい造形を生み出す源は、あらゆる物から美しさを見いだす美意識、その美しさを作品に落とし込む展開力と巧、あくまでも「箱」という拘りだと思いました。 作品名上:楓波文大箱中:楠渦巻放射丸大箱下:楠捩甲羅蓋箱(2点)
案内ハガキ作品(横浜高島屋個展2023.9)上:栓乱稜線楕円大箱30・22・H16cm下:栃扇面形飾台40・17・H6cm