加藤清和


祖父は古田織部瀬戸十作十三代目治兵衛、父は初代靖山。

京都五条で長年受け継がれてきた三彩作品は、高火度焼成により耐久性のすぐれています。

絶対の自信を持つ轆轤技術は作品で証明されています。

藍三彩貼花杯

62*62*H46
初個展のご案内表紙の本作は、その美しさに大家の個展と思いました。轆轤の速さを自負し、出品作品に絶対の自信を持たれています。納得行かない作品は壁に投げつけて破壊すると言われていました。それほど完成イメージを強く持ち、高みを目指す作陶は、公募展受賞など多く人が認める作家となる未来を感じさせました。会場の作品を拝見しながら、その自信に納得し魅入ました。

藍彩豆酒器揃藍彩杯

徳利 68*68*H100杯大 48*48*H18杯小 41*41*H18
作品の造形、色、表現どれを挙げても、それぞれの迸る“美力”に圧倒され、ただただ、“美しい”。この作品の繊細な造形と色彩表現は、美術品領域です。常日頃「お世話いただいた作品は、全てを用の場に出し勉強する」という考えでいますが、なかなか緊張感が、拭えなかった。“藍彩豆酒器揃”は、極小の作品最小盃は、直径41mm極薄通常盃の印象と差異はありません。それは寸法縮小分肉薄にし焼成歩留まりは途方もなく悪い中生み出した作品だからです。“作陶魂”の極みです。その難しさに「二度と作陶するつもりは無い」と言い切りました。“藍彩酒器”は、最初、見込みの貫入にお酒が染み込み、薄黄色の地色が徐々に落ち着いた色合いになりました。その分、キラキラした光を放つ貫入が、より一層、際立ってきて、輝く透明な美しい層ができました。繊細な口縁の繊細な返りは、唇当たりが溶けるようで“呑む”というより“舐める”といった感覚です。

三彩貼花杯

66*66*H63
初めて三彩作品を拝見しましたが、色の濃さ、発色、流れ、滑らかなボケ足、貫入などから勢いまでも感じるものなのかと感心しました。本作は小ぶりな酒杯ですが、前述の印象に遜色はありません。

白釉ぐい呑

59*59*H46
ポッタリとした釉薬の造形です。高台は、白釉作品の為に独自で研鑽された風車高台です。三彩の躍動的な流れる釉薬と対象的な造形と景色ですが、気品を感じる作風は普遍的です。

藍彩貼花杯

79*79*H45
藍彩釉を一定の間隔で薄く掛け流すことにより流れの膨らみの部分が重なり透けて見えています。まるで見込みに咲く花の様です、実に美しい。見込みに向けての掛け流しは藍彩釉の逃げ場が無いため頃合いが極めて難しいと思います。正確無比の高度な技術と発想力、果てしない陶芸魂に感じ入りました。茶杯としても使ってみたいと思います。